海外で働く(10)クレーム処理は本当に日本人の仕事か?
内部統制の仕組みを勉強中商売をしている以上、必ず顧客からのクレームは発生します。日常業務は現地社員に任せていても、問題が発生した場合は必ず日本人駐在員に報告しなさいという社内ルールにしている海外拠点は多いと思います。
ではクレーム処理は本当に日本人駐在員の仕事なのでしょうか?日本人が対応してしまったばかりに話がややこしくなってしまうケースはありませんか?もしくは、些細なことまで日本人で対応してしまったばかりに、自社の現地社員のモチベーションが下がったり、マネジメントの不透明性を印象付ける結果になってしまったことはありませんか?
海外とはいえ、日系企業の海外進出では取引先の多くが日系先です。相手が日本人の場合には「皮を切らせて骨を断つ」アプローチで、「まず謝る」のが定石です。
日本人にとって「まず謝る」は挨拶程度の意味しかありませんが、こんな国は世界でも珍しいはず。現地社員に同じように振る舞えといっても、かなりの抵抗感があるはずです。謝らない現地社員に腹を立てて声を上げている日本人を何度か見たことがあります。
仕方がないと日本人同士で問題を処理するケースもあります。処理後社内に戻って、担当の現地社員に「今後は気をつけろ」などと偉そうなことを言ったところで、現地社員は自分の主張が認められていないので、納得していません。
最悪なのは良くわかっていない日本人同士が問題を処理することです。問題の共通認識が出来上がらずに、関係維持のみを目的としているので、「なんかよくわからない玉虫色の決着」になりがちです。
私も、海外生活が長期化してきたせいでしょうか、現地社員の「謝らない」アプローチを評価しつつあります。これは単なる「謝らない」ではなく、「謝らずに事態を解決する大人のアプローチ」と考えることもできるのではと思い始めました。
よく欧米企業(外資系企業?)では、ミスをした時に今後の対応策をどうするかにより重きをおくことが知られていますが、これと同じなのです。
長期的関係維持を重要視する日本の商取引慣行は過去の物となっているはずです。過去でなくとも、それだけではビジネスが成り立たなくなっていることは明白です。商品・サービスの付加価値自体がプライマリーな競争力の源泉です。
企業の目的を再確認する必要があるでしょう。売り上げを伸ばすこと・利益を最大化すること、株主の期待に答える事等々色々ありますが、顧客のクレームに謝ることなどということを目的にしている企業は皆無のはずです。
謝るよりも効果的な方法があるのなら、謝る必要はありません。企業目的に貢献可能な最善策を実施すればいいはずです。
謝らない現地社員を叱ることは簡単かもしれません、謝らないならば自分で決着する方が簡単と考える方もいるかもしれません、苦情処理こそ日本人の仕事と考えられている方もいるでしょう。
でも、もう少し「謝らない」人たちから学んでみませんか?
もっとも、日本人のコミュニケーション力不足が問題の根底にあることは否定できませんが。



