海外生活(7)本をたくさん読もう
内部統制の仕組みを勉強中私は元々本を読むのが非常に苦手でした。嫌いというよりも習慣がなかったので、結果的に苦手意識が残ってしまいました。学生時代も国語の偏差値は最低レベル。ことわざや熟語は全く知らず今でも語彙の少なさを妻に笑われます。小説特にサスペンスものは最後まで読みきれません。途中でストーリーを忘れてしまいます。
それでも、シンガポールに駐在するようになってから、経営関連の本は爆発的に読むようになりました。そもそも、大学も経営学部を卒業しているので、この分野のトピックは嫌いではありませんでしたが、それよりも、必要に迫られて経営関連書籍を読み始めるようになりました。
切迫感のある話として、現地社員に馬鹿にされないための知識を身につける必要がありました。私がこの地に赴任したのは20歳の後半くらいのころです。最初から日本人など誰もいない現業部門に配置されました。この部署は、歴史的に日本人との関係が悪く、現地社員は日本人を見るとまた無理難題を押し付けられるのではないか、現場を知らない適当なことばかり聞いてくるのではないかという不信感に満ちていました。
この部署の課長は50歳くらいの年配の女性でした。当社がシンガポールに事業所を開設したときから在籍しています。彼女いわく、「昔の駐在員は私たちに仕事を教えてくれたのに、最近の駐在員は何も知らない。逆に私たちが教えている。」と駐在員の質の低下を嘆いています。
そうは言われても、私も実務経験があるわけではない、ただの若造でしたので、彼女に嫌われないように、且つ日本人経営陣から邦人駐在員として期待される役割をこなし成果を出していることを示していかなくてはなりませんでした。
そこで本を読みまくったのです。といっても私の業界の実務書などはほとんどありませんでしたので、時の流行の『クリティカルシンキング』系の書籍で、アイディアの出し方、まとめ方、説得の仕方の知識をみにつけ、更に当時ようやっと海外の事業所にもPCが一人一台に近づいてきた時期だったので、ワープロ以外のPCの活用法を紹介しようと『MS-ACCESS』や『VBA』の本を沢山読みました。
この時の経験では、ある分野を語れるレベルまでになるには、最低5冊は同じテーマの本を読む必要があると思います。同じ本を何度も読み返すのもいいのですが、同じ事象を異なる視点から異なる表現で読みこなしていくことで、血となり肉となっていくのだと思います。確かにお金はかさみますが、それなりの効果はあります。
また、最近は『統計』の本を沢山読みました。赴任当時から、リスク・収益管理のシステムを構築したいと思っていたのですが、単なるデータの集計作業では、意味のある資料が作れず、次なるステップとして、標準偏差や分散の考え方を取り入れようとして手に取ったものです。この時も5冊を集中して読みこなしたと思います。3冊目ぐらいでなんとなくわかったような気がしてきて5冊目では達成感に似たものがありました。
仕事の守備範囲が広がる海外滞在の期間中に、仕事と同時並行的に関連する勉強をしてみると、身につくものも比例的に増えるのではないかと思います。
本を購入するコストの問題がクリアになれば、絶対お勧めの海外駐在生活のすごし方です。



